フィリピン医学留学Diary(^^)

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フィリピン医学留学での様々な出来事を綴ります。

日本人がフィリピンで医師になれるのか(随時更新)

この記事で、日本人がフィリピンの医学部を卒業してフィリピンで医師になれるのかについて争点をまとめます。実のところ、フィリピンで医学を勉強している日本人にとっても不明な点が多く、確実なところはわかっていないのが本音です。今回、こちらで勉強されている日本人の医学生の方々の協力を得て、現時点でこの件についてどういった理解であるかをまとめました。尚この件は、フィリピンの医学部を卒業して日本に帰国して臨床したいと思っている方にも関係してきます。何故なら、こちらでの医師免許があると、日本に帰る際の審査で有利になる可能性が極めて高いからです。

 

ではまず、外国人がフィリピンの医師国家試験を受験する条件について法律を確認します。

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Senate bill 1294によると、以上の4事項がフィリピンの国家試験を受験する為の条件として記載されています。

では、次に、この件に関連のある具体的な事例を挙げていきます。有名なのが太田医師の裁判です。太田医師はフィリピンのフィリピンのビコール・クリスチャン・カレッジ医学部を卒業され、1年の研修を経た後、フィリピンの国家試験を合格されました。しかし、フィリピン医師会から免許の発給を拒否され、裁判での争いの末、勝訴されました。ここでの争点は日本とフィリピンは医師免許においてReciprocityが存在するかという点(上記のsec20, aに該当するかという点)でした。この件の詳細に関して、太田医師ご本人のホームページのURLをご確認ください。(http://yota.justhpbs.jp/Philippines.html

また、裁判内容の詳細を別で見つけましたので、少し長いですがこちらも是非参照してください。こちらに裁判での争点がまとめられています。(http://sc.judiciary.gov.ph/jurisprudence/2008/july2008/166097.htm

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ここに書かている内容に基づくと、フィリピン医師会の主張する「日本とフィリピンには実質的なreciprocityは存在しない」という主張は、裁判所によって否定されました。それにより、sec20 aの条件が満たされる形となり、フィリピン医師会は日本人である太田医師に医師免許の発給をするよう判決が下りました。つまり、この裁判を経た現時点においては日本とフィリピンの間ではReciprocityが存在すると考えられると思います。そして、もしreciprocityが認めれるのであれば、上記senate bill 1294に基づいて、日本人がフィリピンの医師免許を取得することも可能だと考えられます。

 

さて、次はフィリピンで医師になられたNagashima医師の事例を挙げます。

 

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僕個人的にNagashima医師と面識はありません。しかし、Nagashima医師がfacebookで2011年に公開されたpostには、PRC manilaがフィリピン人にならなければフィリピンの国家試験を受験させてくれないと書かれているのを見つけました。(...PRC manila didn't approve me to take medical boardexam unless I got naturalized to Filipino. So what should I do now?)

Nagashima医師は2014年にフィリピン国籍を取得し、現在医師としてこちらで活躍されています。しかし、疑問点は、何故2011年の段階でPRCmanilaが日本人に国家試験を受験させなかったのか。 太田医師の勝訴は2004年2月であり、そのケースが反映されていたなら、senate bill 1294に基づいてNagashima医師は日本人として国家試験を受験することができたはずです。しかし、現実はそうはなりませんでした。その理由は僕にはわかりませんが、PRCmanilaが何らかの理由でnagashima医師の国家試験の受験を認めなかったのは事実のようです。つまり、この件がある以上、太田医師の裁判を以って、フィリピンで日本人が医師になれるとは限りません。考えられる理由としては(あくまでも推測)、senate billは所詮判例なので、法律ではないと言う点です。判例が法律化されていない以上、個別判断として扱われ、裁判で判例に沿うかどうかが議論されるのが一般的なようです。裁判となると、書類の準備、審査や弁護士を雇うなど時間もお金もかかります。つまり、現時点において日本人のままフィリピンの医師国家試験を受験して、医師になるのは難しいのではないかと思います。

また、同じ医学部の韓国人の友人の情報によると、デラサール大学医学部を卒業した韓国人医師の4人のうち3人はフィリピン国籍を取得し、こちらで医師免許を取得されたようです。彼らによると、フィリピンで医師になるには帰化するくらいしか方法はないとのことです。従って、韓国人でも同様にフィリピンで医師になるのは困難なようです。

そして、この壁は日本人や韓国人のみならず、他の外国人の医師にも同様に当てはまります。2008年に、こちらで知られているANC ニュース番組のCROSSROADSという特集の中で、外国人の医師がフィリピンで正式に医療が行えないこと、Medical mission等も特別許可がなければ行えない等といった点が指摘されていたようです。

f:id:takoyaki3292:20170727113231p:plain (http://liveinthephilippines.com/content/medical-debate/)

 

まとめると、日本人としてフィリピンの医師免許を取得されたのは太田医師で、Reciprocityの問題が裁判で取り上げられていることから、恐らく日本人最初の事例ではないかと思います。Nagashima医師や友人の知り合いの韓国人医師達、Crossroadsでの特集を考えると、現時点(2017年)で日本人がフィリピンで医師免許を取得するのは不可能ではないにしろ、かなり困難を伴うと思われます。

 

追記:この件に関する議論の続きは下のコメント欄を参照して下さい。